歯周病治療コラム

唾液検査で口腔内の状況を知ることが重要!

   歯周病治療は、口の中の状態をしっかりと把握することから始まります。唾液検査(サリバテスト)を受けたことがありますか?唾液検査は、虫歯の根本的な原因を特定するだけでなく、口腔内の状況を把握することができます。歯周病の原因の元となる細菌を除菌し、細菌数をコントロールすることはとても大切です。今回は、唾液検査(サリバテスト)についてお話ししていきたいと思います。

唾液検査(サリバテスト)とは?

 唾液検査では、カリエスリスク(虫歯のなりやすさ)を調べます。なぜ虫歯が出来たのか、どんなリスクがあるのかを知ることで、リスクを改善し虫歯を発生させない環境を整えることが大切です。

  • ミュータンス菌の数
  • ラクトバチラス菌の数
  • 飲食回数
  • プラーク(歯垢)の量
  • フッ素使用状況
  • 過去の虫歯経験
  • 唾液の質・量
  • 唾液の緩衝能

 これらの8項目を調べます。1項目0~3点で採点し、合計点が8点以下を保つことができたら1年後の虫歯になる確率は、ほぼ0%と言われています。

唾液検査はいつするの?

 唾液検査をするタイミングは、初診時や治療を始める前に行います。治療開始前の口の中の状況を調べ、治療後どのように変化したのかを比較することができます。

唾液検査にかかる費用は?

 唾液検査には、保険が適応されません。歯医者さんによって検査の値段はさまざまです。一般的な相場は、3,000円~10,000円となっています。

 最初値段を聞いた時に「高い!」と感じたので、同じように高いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、口の中の状況を数値で知ることはとても大切です。数値化されると自分の口の中の状況をしっかりと知ることができます。目指すべき数値に向けて、メンテナンスを受けたり日常の歯磨きやデンタルケアをしっかりすることができます。そう考えると高い検査ではないなと思います。

ちなみに病院での血液検査は、1万円かかっているそうです。

唾液検査の検査8項目

ミュータンス菌の数

 ミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖や炭水化物を分解して強い酸を出す細菌で虫歯のきっかけを作ります。虫歯菌の中でも代表的な細菌なので聞いたことがあるのではないでしょうか。ミュータンス菌は、ネバネバした物質を出して歯面への付着力がとても強く、一度感染するとなかなか減らず、勢力を拡大していきます。

ラクトバチラス菌の数

 ラクトバチラス菌は、乳酸菌の一種で酸素の有無に関係なく生存できる細菌でミュータンス菌と同様に強い酸を出し虫歯を進行させます。磨き残しが多い、甘いものを頻繁に食べる、虫歯の穴や適合不良の詰め物があるなど口腔内の衛生状態が悪いと増えやすい菌です。

飲食回数

食事や間食、糖類の入った飲み物を摂ると虫歯菌が酸を生産し、2~3分で口腔内のpHが酸性に傾き“歯が溶ける脱灰(歯面の溶解)”が始まります。そして、食後20~40分経つと唾液の力によってpHが上昇し、“歯を修復する再石灰化”が始まります。飲食の回数が多いと歯が溶けている時間が長くなり、虫歯になりやすくなります。

プラーク(歯垢)の量

 プラーク(歯垢)は水分と細菌、および細菌の代謝物です。バイオフィルムとも呼ばれますが、このプラーク1㎎中にはなんと1億を超える細菌がいます。このことからプラークの量は虫歯や歯周病のリスクに直接関わってきます。

フッ素の使用状況

 エナメル質にフッ素を取り込ませると結晶構造が強固になり酸に溶けにくい性質になります。また、フッ素は再石灰化(エナメル質の修復)の促進や細菌の働きを抑制する性質を持ちます。

過去の虫歯経験

 現在の虫歯、処置済みの虫歯、虫歯で抜歯した歯の総数より割り出された数値で、年齢を重ねるにつれて増えていきます。

唾液の量と質

 唾液腺から分泌される唾液には消化液の役割だけでなく、口の中んの健康を維持する大切な役割を担っています。殺菌や浄化、異物混入の阻止の他、口の中のpHをコントロールする緩衝液、エナメル質を修復する再石灰化などはすべて唾液の役割で、その量や質は虫歯リスクに大きな影響を及ぼします。

唾液緩衝能

 歯を溶かす酸はプラーク中の細菌によって産生されます。唾液は唾液緩衝能という“酸を中和する能力”を持っており、そのほとんどは唾液に含まれる重炭酸塩によるものです。重炭酸塩は、食事をした時に出る唾液(刺激唾液)に多く含まれており、よく噛むことでその量は増えます。また唾液分泌量が多いと重炭酸塩も増えるため、虫歯リスクの個人差となって現れてきます。

検査方法

  • 問診(食生活についてなど)
  • ガムを1分間噛みます。その間にでる唾液は飲み込んでください。
  • ミュータンス菌を調べるため唾液を採取します。
  • プラーク(歯垢)を採取します。
  • 先ほどのガムを5分間噛み続け、その間に出る唾液は容器に吐き出し唾液の量を測定します。
  • 唾液の緩衝能を調べます。
  • ラクトバチラス菌を測定するために唾液を採取します。
  • 2日後、培養したミュータンス菌の量を調べます。
  • 4日後、培養したラクトバチラス菌を測定します。

 

唾液検査前の注意点

  • 検査1時間前は飲食・喫煙歯磨きは避けましょう
  • 検査直前の激しい運動は控える
  • 検査6時間以内は殺菌作用のある研磨剤や洗口液の使用は避けましょう
  • 唾液中に潜血が含まれる場合
  • 検査時は口紅やリップクリームの使用は避けましょう

 

唾液検査をする歯医者さんの割合は?

 98%の歯医者さんでは、唾液検査を行っていません。しっかりと唾液検査をしてくれる歯医者さんを探すことが歯周病治療では大切です。

位相差顕微鏡とは?

 位相差顕微鏡を設置している歯医者さんもあります。位相差顕微鏡は、動いている口の中の歯周病菌や細菌を鮮明な画像で見ることができます。細菌の状態を観ながらしっかりと説明してくれる歯医者さんを選ぶのもおすすめです。